「お客様は神様です」という言葉をご存知でしょうか?接客業を主とする企業での研修や、また社風を打ち出す企業理念の中の言葉で、非常に多くの企業が活用している言葉です。また時に、こうした言葉を盾に取ろうと、クレーム時に持ち出す人もしばしば。
多くの人に広まっている、この言葉。しかし実は、この言葉の真意は、世の中に広まっている意味合いとは全く別のものだったこと、ご存知でしょうか?
「お客様は神様です」という言葉が生まれたのは、1961年。演歌歌手のとある対談の会話がきっかけとなったのでした。
「お客様は神様です」という言葉が生まれたのは、1961年元浪曲師であり、演歌歌手の三波春夫さんと漫談家の宮尾たか志さんの対談の中で、「お客様は神様です」という言葉が生まれたのでした。
三波春夫さんは、演歌歌手。この時表現した「お客様」というのは、聴衆・オーディエンスを指しています。
三波春夫さんの言葉では、
歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って、心をまっさらにしなければ完璧な芸をお見せすることはできないのです。(中略)また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件です。だからお客様は絶対者、神様なのです
引用:
と、「最大限のパフォーマンスを発揮するために、神様の前に立つような気持ちでお客様と向き合う」という意味合いが、この「お客様は神様です」という言葉に繋がったのでした。
つまりそれは、「無条件にお客様を神様と崇めるということではない」ということ。
こうした生まれた言葉が、段々と形を変えて、誤認させる形で世の中に広まっていってしまうのです。
実際に現代では、「お客様は神様」という言葉を盾にして、事業者へのクレーム利用をしている人が多数います。
「お客様は神様です」 ←これは店が使う言葉。客が使ってはいけない。
— AJURIKA◆Youtubeはじめました◆ (@AJURIKA) April 3, 2013
「子供のしたことですから」 ←これは子供に何かされた側が使う言葉。親が使ってはいけない。
New!「無報酬で」 ←これはどうしても自発的に参加したい側が使う言葉。人を使う側が使ってはいけない。
お客様は神様だって本気で思ってる人って、ばかだと思う
— ゆ! (@ethical_) September 25, 2012
お客様は神様ってよくいうけど、貧乏神とか疫病神の類いの人も結構いると思う
— ninox (@ninox9) September 21, 2012
多くの人がしっかりと真意を汲み取ることが、非常に重要。決して、間違った使い方をしないように。
もちろん、真意を理解している人もたくさんいます。そしてその理解があれば、この言葉を使ってクレームをするような事は、しなくなる事でしょう。
「お客様は神様」をはきちがえたクズと馬鹿は嫌よね。
— 果実拳(ふるぱん)【ɔ́ːltər】 (@fruitpunchJ) September 24, 2012
三波春夫先生の言うところの「お客様」は、客席にいらっしゃるお客様(オーディエンス)であって、商品やサービスに対価としてお金を払う客とは別物。
神様に捧げるつもりで歌うという三波春夫先生だからこその言葉。
「お客様は神様です」と言った三波春夫の真意は、歌い手である三波春夫がステージに立つ時、神前での祈りのように雑念を払い、聴衆(お客様)を神と見ることで、自分の最高のパフォーマンスが出来る、という想いから出て来た、人前で何かを披露する際の芸の本質を表す言葉、と俺は記憶してます。
— T.S (@takashibuya) September 21, 2012
そも、「お客様は神様です」とは、「客は芸人の手抜きを見抜く神様みたいな目を持っているから、芸事は、神様に奉納するつもりでいなさいよ」なのに、受け手である側が、自らを神と定義付けて、増長するに至ったわけで。「金さえ払えばいいだろう」というのは、王様でもそんな尊大な態度は取らない訳で
— ダブルpfizer命のベルトのちょこらーた (@tyokorata) September 25, 2012
誤った理解をして、人を困らせるような態度をとるのは、本当にカッコ悪いことです。言葉を生み出した人自体の意図がしっかり広がって、多くの人にとって「喜ばれる」ような言葉になってくれる事を祈ってやみません。
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