入社式が始まる直前に退席したA君
新卒でそこそこの大企業に就職して4月に入社式があった。
式場となる大会議室は一番目立つ正面の壁に社章を描いた旗と日の丸の旗が掲揚してあった。
式が始まる寸前、1人(A君とする)が突然部屋から退出してしまった。
人事の社員が追いかけていきしばらくそのまま待たされたが、結局彼は戻ってこなかった…
夜、新入社員が寝泊まりする研修施設に移動してみると、そこにはA君がいた。
A君はみんなに対して
と言った。
理由を聞くと…
驚いて事情を聞くとA君いわく、
A君の親御さんは熱心な反日の丸主義者(?)で日の丸や国歌は悪の象徴だと教えられてきて、彼自身もその考えに同意している。
物心ついてから今まで日の丸敬礼や君が代斉唱をしなければならない式典はすべて欠席や離席で対応してきた。
しかし、さすがに企業の入社式は離席できないし、何より入社式で日の丸を掲げるような戦争至上主義の会社には到底入社できない。
だから入社を辞退したいと申し出たんだけれど、一度は入社が決まっていた以上、ハイさよならというわけにはいかないので当然揉めているという話だった。
予想外の話にみんな困惑してしまい、あの手この手でA君を引き留めようとした。
あくまで形式上のことなんだからそんなにマジにならなくてもとなだめたり、内定者懇親会で酒を酌み交わした仲間じゃないかと情に訴えたり、それでもA君の意志は堅く、
そんなようなことを熱弁し、一歩も譲らなかった。
日の丸に反対しない我々のことをまるで軍国主義者のように言うので、そこまで言われるとみんな気がそがれA君を引き留めようとする人はいなくなった。
その後、数日間、A君は寮にとどまっていたが、やがて退職の話が決着したのかその後見かけることはなくなってしまった。
数年前、小学校教師が国歌不起立で懲戒になるかもしれないというニュースがあったが、これはそれよりも以前の出来事で、職を賭してまで日の丸や国歌反対にマジになる人の存在は当時あまり知られておらず、まさに「神経がわからん」話だった。
ただ私は関西の出身だったのでA君の親御さんは教師ではとピンと来ていた。
最後に会った時
と聞くと
と言っていた。
多分、彼は今どこかの小学校で君が代の上から校歌のプリントを貼り付けさせていると思う。
彼は日本の教育の恩恵をバリバリに受けていて有名な国立大を出ていた。
アメリカの国歌だって奴隷貿易の歴史をベースにした歌だし、イタリア?フランス?の国歌だって戦勝を歌った曲だし、天皇や王を置いている国は日本以外にも沢山あるだろうと指摘した人がいたけど他国がやっているからといって日本がやっていい理由にならない、と言っていた。
余談ですがA君に
と勇敢にも聞いた人がいたがA君は真っ向否定していた。
自分自身が純日本人なのに彼は日本という国を心底憎みきっていて、日本人に生まれたことを原罪みたいに背負いながら生きてるように見えた。
個人的な感想としてはそんなA君の神経がわからんかったし、ちょっと可哀想に見えた。
ネットでの反応
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