受験に失敗してしまった友人を励まそうと、その日は二人でカラオケへでも行って気分を変えようと話ながら歩いていました。
幼馴染の友人とは、大学進学で別々の学校へ進む事に。同じ塾へ通い、高校生活の3年間を受験勉強に費やしてきました。
しかし、友達は残念ながら志望校へ進む事が出来なくなってしまった。
彼は、目標を諦めきれず浪人を決意し、これから頑張るぞと意気込んでいましが、その面持ちはやはり暗く合格発表以来ずっとイライラしています。
彼の親は、僕の親よりも受験には厳しいので、志望校に不合格になってしまったことで随分と責められたのだとか。そのストレスもあるのか、些細なことでも苛立ちが露になってしまっていた様です…そんな彼を何とか元気付けようと、この日は二人でカラオケへ。
しかし、その道中に思いもよらぬ出来事に遭遇する事に。
二人で話しながら歩いていると、僕達の背後から全力で小学生がぶつかってきたのです。それも、機嫌があまりよくない友人の方へ強烈に激突。
あまりの勢いに負け、友達は派手に転倒しました。
「大丈夫?」と友達に手を差し出すと、明らかにイラっとした表情で小学生を見つめます。
「まずい、今の彼は…」今にも怒り出しそうな彼を止めようとしていると、サッと立ち上がり子供の肩を掴んだのです。
そして僕の予想とは反し、何とも心打たれる言葉を小学生へ話し始めました。
よそ見をしていたのか、歩いている僕達の背後から全力で激突してきた小学生。
それもよりによって、受験失敗でイライラが頂点に達している友達の方に激突してしまったのです。バランスを崩し、派手に転倒してしまった友達。「大丈夫?」と手を差し出すと明らかに恐い表情の彼…
「まずい…」そう思っていると、彼はサッと立ち上がり小学生へ近寄ります。
ぶつかってきた小学生も衝撃の勢いで転げてしまい、何が起こったのかわからない様子で泣きそうな顔をしながらこちらを見ていました。
小学生へ近寄った彼は、肩を掴んで座り込んでいる小学生を立たせ、服をはらってあげながらこう話しかけました。
ダメだぞ、前を向いて走らないと。お兄ちゃんだったから転んだだけで済んだけど、もしお爺ちゃんやお婆ちゃんだったら大怪我するかもしれないし、大変な事になってしまうかもしれないだろ?
優しい口調でそう語る彼。叱られると思ったのか、今にも泣き出しそうな小学生に向かって注意し始めました。
でもな、今ぶつかって失敗したから今度から失敗しなくて済むんだよ。人はね、誰だって失敗するんだ。そんなことより、次どうしたら失敗しない様にできるかなって考えるんだぞ。実はお兄ちゃんもさ、ちょっと前に大きな失敗をしちゃったんだ。すごく辛いけど、クヨクヨしてちゃダメだから、次失敗しないようにまた頑張ろうと思ってる。だから、君も次同じ失敗をしない様に気を付けるんだよ!
そう注意している彼の姿と言葉は、自分の経験をダブらせながら、そして小学生へ注意をしながら自らに言い聞かせているかの様でした。
その彼の言葉に、今にも泣き出しそうだった小学生は顔をビシっと引き締めて、「ごめんなさい!ありがとう」と彼に伝えました。
彼の言葉を聞いた時、胸が熱くなると共に、何故か逆に励まされた気がします。
人は誰しも失敗する。そんな時こそ、次にどうすることが大事なのかを考える事でその人の伸び代は大きく変化します。
この彼の予想もしかったイケメン対応っぷりに、励ます方の僕が勇気付けられました☆
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