私には、一人の娘がいる。
先日4歳の誕生日を迎えたばかりの娘だ。私は、自分の会社を経営しているため普段から多忙の日々。娘は、祖母に見てもらっているといった具合でした。
母親は、娘が2歳の時に娘と私を捨て、他の男と不倫し、その後再婚したそう…再婚相手には連れ子の娘がいるらしく、私が娘を引き取る事に。
娘には、母親は「天国へ行った」そう話しています。
とてもお利口で、空気の読める娘は、何一つワガママを言わない子で、とても助かっていたのですが、そんな娘がある日ポツリと”奇妙な事”を言い出しました。
その奇妙な事の意味が分かった瞬間、私は始めて娘のワガママと心の叫びを知り、その場で泣き崩れる事に…
いつも私は、朝6時に家を出て、帰宅は23時を回る多忙の毎日。経営者という職柄、どうしても忙しい日々が続いていました。
元妻も、そういった多忙の私に愛想を尽かしての行動だったのでしょう…休日とは言え、不定休な上に休みでも自宅で仕事を消化していた私は、ろくに娘をどこかへ連れて行ってあげたり、遊んであげる事もしていなかったと思います。
一切ワガママを言わない娘に、安心していたのかもしれません。元妻が家を出て、私と娘、祖母でのこの様な「すれ違い生活」を過ごす様になって2年が過ぎようとしたある日、それまでの生活と私の意識をハッとさせる大きな転機が起こったのです。
いつも通り仕事を終え、23時過ぎに帰宅しリビングへ向かうと、ソファーに娘が腰掛けてまだ起きていました。
私:こら、何でこんな時間まで起きているんだ?おばあちゃんは?娘:お帰りなさいパパ。おばあちゃんと一緒に寝たんだけど、お部屋抜け出してパパを待ってたの。私:何時だと思ってるんだ。早くおばあちゃんの所へ行って寝なさい。娘:…私:どうしたんだ?娘:ねぇ、パパはママと最近いつお話した?私:…ママは天国へ行ってしまったから、もうお話は出来ないんだよ。
私は、疲れていた事もあり少し適当に対応してしまいました。
娘:天国ってどこにあるか、パパは知ってる?私:雲のずっとずっと上だ
こんな細かい事を今まで口にしなかった娘に、少し不思議な気持ちでいました。聞き分けが良く、それ以上の探求はしてこなかった子だけに、何かあったのかな…と。すると娘がこう続けます。
娘: 違うよ。パパは知らなかったんだね!私:え?娘: 天国はね、すぐ近くにあるんだよ!ママはね、すぐ近くにいるんだよ!『ママはね、新しいパパと新しい子と近くにいるんだよ!』
いきなり大声で、泣きながらそう強く訴える娘。私は、娘が何を言っているのか、見当も付きませんでした。
あまりの大声に、祖母が驚いて起きてきて、重い口を開きます。そして、やっと娘の必死な訴えの意味が分かったのです…
祖母に話を聞くと、今日祖母が娘と少し離れたスーパーへ買い物へ行った時、前妻に偶然会ったそうです。会ったと言っても、何か会話をしたわけではないそうですが、前妻は ”新しい夫”と、”新しい娘”を連れて買い物をしていたそうです。その光景を偶然娘が目にしてしまい、娘は必死に 「ママ!」と呼んで駆け寄ろうとしたんだとか。祖母が必死にそれを制止したため、再会し、”本当の真実”を知らずに済んだそうですが、私は意を決して娘に全て話す事に。
幼いながらも娘は、私の話が理解出来たのでしょう…
今までの素直な娘ではなく 「ヤダヤダ」と泣き叫びながら私を必死に叩きます。それを見ていた祖母はもちろん、私も今まで溜まっていたものが全て吹き出すかの様に涙が溢れ、その場で泣き崩れました。
私は、それ以降出来るだけ仕事を調整して少しでも娘と過ごす時間を作る様にし、娘にとって、始めて ”本当のパパ”になれてきた様な気がしています。
まだまだ新米パパではありますが、これからは娘と二人三脚でしっかり生きていきたいと思います。
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