定年退職を迎える夫に冷たい視線を送る妻。テーブルに置かれた新聞に書かれた22文字を見て”大切なこと”を思い出す

3月31日、夫は今日が定年前の最後の出社日でした。

長いサラリーマン人生の幕を降ろす時。朝から夫は意気揚々としているようでした。

なんだ、そっけないなー。今日で定年だっていうのに。

私はそんな夫を、素直に「おめでとう」と言ってあげられる出来た妻ではなく、そんな言葉にも「いいわね、男の人は定年とか言っておめでたい人生で。」と皮肉な言葉で答えてしまいました。

そんな私の態度に一瞬うろたえたような態度を見せた夫でしたが、私にひとこと言って出勤していきました。

今日から新聞の文字が大きくなって見やすくなったんだよ。だから読んでみて。

いつもと変わらない調子の夫を見てため息をつく私。

気がつくと「なんだったんだろう、私の人生」とぼやいていました。

そして昼前に、出勤していった夫から電話がかかってきました。

もしもし、僕だけど。読んだ?新聞?

電話でも同じ調子で喋る夫に、とうとう私も日頃溜まっていた鬱憤が爆発してしまいました。

あなたには分からないだろうけど、主婦ってやらなくちゃいけないことがいっぱいあるのよ。

毎日毎日、自分の事なんか何一つできないまま時間はどんどん過ぎていくの。

あなたは定年とか言っていい感じなんだろうけど、私のことなんか考えたことあるの?

そう言って、思わず電話口で泣いてしまう始末。

さすがに言いすぎたと思った私は夫に謝り、そのまま電話を切りました。視線を落とし、ふと夫が言っていた新聞に目を向けると、お知らせ欄にこんな文字が。

みーちゃんへ

今夜7時に羽田で待つ。

しげちん。

空港に着くと夫の姿がありました。

またいつもの調子で手を振る夫。

結婚前の呼び方で書かれていたメッセージに、少し照れくさい気持ちを感じながらも夫に見落とすところだったと言葉をかけました。

「だろうね」と言葉を返した夫は、誇らしげに胸ポケットからチケットのような物を取り出しました。

定年記念、田島夫婦日本縦断の旅!

そう言って、驚く私をよそに、夫は私の手を引いて搭乗口へと歩き出しました。

もちろん何の支度もしていません。

手を引かれるがままに飛行機に乗ると、夫にアイマスクを渡され、言われるがままに装着をしました。

何が見える?…僕の思い浮かべてみて。どんな顔をしてる?

私は「笑ってる」と一言だけ返しました。

良かった。根っからの仕事人間だったけど、ずっとみーちゃんが支えだった。

夫として父として全然失格。

でもね、定年の今日までどんなに辛くても、君といる時だけは笑顔でいようと思って頑張ったんだ。

そう言って、目を開けると私の手の上にはプラチナの指輪が置かれていました。

結婚の時はちょっと手が届かなかったけど、やっと贈ることができた。

これもみーちゃんのおかげだな。

素直じゃない私に対して、いつもまっすぐな夫。

気がつけば、涙が溢れていました。

定年後は、毎日のように夫婦が顔を会わせることになり、奥さんがアレルギー反応を起こすという話もよく聞きますが、こんな風に奥さんのことを想い続けるご主人であれば、第二の人生も楽しめそうですね。

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